Coby's Media
こどもたちにわたしたちができること。

スマートデバイスは『21世紀のはさみ』

コビープリスクールよしかわみなみ
三鍋 明人園長

2019年7月22日

コビーグループには、衣装制作や立体造形、壁面装飾などの優れた保育技術を持つもの、元J1で活躍したサッカー選手、シティホテルの総料理長の経験を持つものなど園運営を支える優れたスタッフが大勢おります。このようなスタッフをCoby’s Mediaでもご紹介してまいります。

ICTやAIの進化、グローバル化により、暮らし方や働き方は大きく変化しています。コビーでは、目まぐるしく変わる社会で生き抜いていくには、これまでの教育で重視されてきた「知識の量」だけでなく、様々なスキルやリテラシーが重要だと考えます。その中には、情報リテラシーやICTリテラシーも含まれます。

そういったことから、全国に先駆けて2014年度からお稽古事保育に取り入れているICT保育において、カリキュラム内容の検討や職員指導などを担当する、埼玉県吉川市のコビープリスクールよしかわみなみ園長 三鍋 明人先生をご紹介します。

【ICT保育を実施する上での工夫とは?】

5歳児クラスを対象に、大体週1回、行事などの兼ね合いをみながら年30回程度のカリキュラムを組んでiPad等を活用したICT保育を行っています。

日常の保育も同様ですが、先生が話している時はしっかり顔をあげて話を聞きましょう、勝手にiPadを操作しないようにしましょうという内容に加え、画面に目を近づけ過ぎないようにすることや正しい姿勢で使うこと、カメラアプリで撮影する時には嫌がっている子の写真を勝手に撮らないようにしましょうなど、使用する上でのルールやモラルも毎回必ず確認します。

使用する際には、iPadをきっかけに子どもたち同士のコミュニケーションが深まるように工夫しています。例えば、お絵描きアプリでは、絵を描くこと自体が目的ではなく、アイデアを出すことを重要視して使っています。子どもの中には絵を描いている最中に間違えると、塗り重ねて何の絵を描いていたのか分からなくなる子や、途端にやる気をなくす子もいます。デジタルなら、間違えてもワンタッチでやり直すことができます。これによってアイデアの幅を広げ、想像力を発揮して形にすることができるのです。1人1台ではなく、時には2人1組や4人1組などグループで1つの絵を完成させるなどして、お友だちとのコミュニケ―ションの機会が増えるように工夫しています。

また、活動後には、「発表の時間」を設けています。iPadを使って感じたこと、発見したことを自由に表現し、どのように考えて描いたのかなどを発表するのも大切な活動だと思っています。

もちろん、画用紙にクレヨンなどで実際に絵を描く従来の保育も行っています。考え方としては、従来の保育を削るのではなく、そこに加える、かけ合わせることでより良い保育の実践につながるよう心がけています。

また、コビーグループとして定期的に知育アプリの開発メーカーなどの企業や大学の方々と意見交換をし、ICTを活用した保育をよりよいものにできるよう日々務めています。

【ICT保育の指導はどのような思いでされていますか?】

今の子どもたちにとって、スマートデバイスは生まれた時から身近に存在するものです。直感的に操作でき、楽しいゲームや動画のアプリがたくさんあります。子どもたちがスマートデバイスをそういったことを楽しむだけのただの玩具として認識する前に、何かを創造したり、協力したり、コミュニケーションを図るために有用な道具であることを、体験を通じ学んでほしいと思っています。

園庭で遊んでいる時に空を見上げ、ある子が「雲って動いているよね。」というと、「どんなふうに動いているかタイムラプス(静止画をつなぎ合わせてコマ送り動画が作れるアプリ)で撮ったらわかるんじゃない?」と他の子が答えていました。そのような姿に、子どもたちの成長を感じています。

私はスマートデバイスを、「21世紀のはさみ」だと考えています。使い方を間違えれば確かに危ないものですが、きちんとした使い方を覚えれば安全に、色々なことに使えるツールになります。これを、子どもが小さいうちから実体験として伝えることを目指しています。

【コビープリスクールよしかわみなみ園長 三鍋 明人先生 プロフィール略歴】

千葉県出身 養護施設の教育者という両親のもとで育ち、学生時代はボランティアで養護施設の支援に取り組む。保育士養成校を卒業後、2003年に株式会社コビーアンドアソシエイツに入社。
主任保育士を経て、2011年より園長職を務める。

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